センター長挨拶
本学は2003年1月に男女共同参画室を創設し、以来、男女共同参画推進のためのさまざまな取り組みを行ってきました。学内保育園・学内学童保育所の設立、ワークライフバランスを推進するための支援、全学に対するポジティブ・アクションの提言、自然科学系の女性教員を対象とした「女性PI」公募、理系女子学生コミュニティ「あかりんご隊」の活動支援、若手理系女性研究者の育成を目的とした「サイエンスフォーラム」、理系を志す生徒を応援する「女子中高生理系進学推進セミナー」、「『ウェルビーイングinアジア』実現のための女性リーダー育成プログラム」、産学官連携事業「あいち男女共同参画社会推進・産学官連携フォーラム」の実施など、多様な活動実績を積んできました。また、女性研究者支援をさらに充実・強化するための2つの特定基金「女性リーダー育成支援事業」および「ジェンダー平等支援事業」を運営しています。2017年7月には、運営支援組織としての男女共同参画室を発展的に改組して男女共同参画センターが設立され、男女共同参画推進体制のさらなる拡充とともに、国内外のジェンダー研究・教育機関の拠点となりうる機能を兼ね備えた組織となりました。同年秋には、名古屋大学ジェンダー・リサーチ・ライブラリ(GRL)が開館し、貴重な文献を保存し研究者・学生・市民に提供するとともに、数々のジェンダーをめぐる講演会、研究集会の場となっています。さらに、2022年4月、男女共同参画センターはジェンダーダイバーシティセンターへと改称し、ジェンダー平等の実現とジェンダー研究の推進に加え、男女共同参画に収まらない性の多様性の尊重にかかる学内認知の役割をも担う組織となりました。同年12月には、当センターが中心となり、東海国立大学機構として岐阜大学と共に「ダイバーシティ、エクイティ、インクルージョン&ビロンギング推進宣言(DEIB宣言)」を制定し、多様性(Diversity)、公正性(Equity)、包摂性(Inclusion)の推進により、全ての多様な構成員が確かな帰属感(Belonging)を持ちうる組織となることを宣言しました。2023年10月には、本学未来社会創造機構Future Society Studio内にジェンダーダイバーシティセンター長をLab長とするDEIB Innovation Labが設立され、DEIB推進のための調査研究を進めています。
ジェンダー平等推進のためのコミットメントが認められ、本学は2015年5月、国連機関UN Womenの「HeForShe」事業「IMPACT10x10x10」(10国家元首、10企業CEO、10大学長)において、ジェンダー平等を推進する世界の主要10大学として、日本で唯一選出されました。2016年には、アカデミアにおける男女共同参画の先駆けとして、第三回澤柳政太郎記念東北大学男女共同参画賞を受賞、2021年には、東海国立大学機構名古屋大学(総長 松尾清一)として第3回輝く女性研究者活躍推進賞(ジュン アシダ賞)を受賞しました。2022年度には、男女共同参画・多様性担当副総長の束村博子が内閣府「令和4年度⼥性のチャレンジ支援賞」を、女子中高生理系進学推進セミナーの取組が日産財団第5回リカジョ育成賞奨励賞を受賞しました。このように、本学の男女共同参画推進は、国内外で高い評価を得ています。
さらに、本学では、文部科学省「女性研究者研究活動支援事業」ならびに「ダイバーシティ研究環境実現イニシアティブ」に計7回採択され、これを男女共同参画の大きな推進力としてきました。東海国立大学機構がスタートした2020年度には、岐阜大学、国立女性教育会館と連携して「ダイバーシティ研究環境実現イニシアティブ(調査分析)」に研究課題「女性研究者の水漏れパイプ解消に資する取組の国際比較」が採択され、その成果として「無意識のバイアス研修プログラム」と「教員採用マニュアル」を開発し、事後評価Sの高い評価を得ました。2021年度には同事業の「特性対応型」に採択され、工学研究科の女性研究者の飛躍的増加を目指した画期的な取組を進めています。さらに、2023年度には「リーダー育成型」に採択され、女性教員上位職(教授・准教授)の増加に向けた様々な施策を開始したところです。
私は、これまで本学の男女共同参画の取組に様々に応援していただいた当事者として、学内外の声により一層耳を傾け、性別によらず誰もが最大限の力を発揮できる組織の実現に向けて有効な環境づくりを進めていきたいと考えております。ぜひ皆様からのお声をお寄せいただけましたら幸いです。
2024年3月
ジェンダーダイバーシティセンター センター長・工学研究科教授
鳴瀧彩絵