はじめに

男女共同参画社会の実現こそ21世紀の我が国社会を決定する最重要課題と位置付け、社会のあらゆる分野において、男女共同参画社会の形成を促進する施策を推進することが重要であるとして、平成11年6月に男女共同参画社会基本法が公布・施行された。同法において男女共同参画社会の定義を明確に規定しており、それによると、男女が社会の対等な構成員として、自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、もって男女が均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受することができ、かつ、共に責任を担うべきものとしている。

これを受け、平成12年12月、政府は、男女共同参画基本計画を定めた。そこにおける「施策の基本的方向と具体的施策」では、政策・方針決定過程への女性の参画の拡大が重要であるとし、各種の審議会等委員への女性の参画の促進、女性国家公務員の採用・登用等の促進、積極的な改善措置(ポジティブ・アクション)など具体的措置の導入等を図ることとしている。文部科学省においては人事院が策定した「女性国家公務員の採用・登用の拡大に関する指針」に基づき、平成14年1月9日、「文部科学省女性職員の採用・登用拡大計画」を策定し、そこで女性職員の採用・登用の目標設定、及びこれに向けての具体的な取組を推進するとともに、勤務環境の整備等を図り、女性職員の採用・登用を促進することにより、男女共同参画社会の実現に資することを目的とし、各部局等(本省、文化庁、国立学校等)の長は、この計画に基づき所管の組織における女性職員の採用・登用の実情に応じた具体的な取組を実施するよう努めなければならないとしている。

本学は、国立大学協会の男女共同参画に関するワーキング・グループが行った、国立大学における男女共同参画を推進するための報告書や学術の府である本学がアカデミックプランの大枠として定めた「名古屋大学学術憲章」の精神等を踏まえ、平成13年3月、「名古屋大学における男女共同参画を推進するための提言」を評議会で決定した。これは、本学が男女共同参画による教育研究の実践こそが、21世紀の本学の命運を決定するという強い使命感を持って制定されたものであり、この提言に盛り込まれた男女共同参画に資する諸施策を着実に実現させていくことこそが本学の最重要課題である。

本学が男女共同参画を推進するための施策を具体化する上で、各部局等の男女共同参画の実体を把握しておくことが極めて重要であり、このたび、全部局に対して、上記提言に基づく取り組み状況等についてアンケートを行うとともに、これに関連したヒアリングを実施した。これらを踏まえ、さらに学内各分野、各層との意見交換を行うとともに、特に、高等教育研究センターからは、女性学・ジェンダー学のカリキュラムについての答申を受けている。得られた調査結果や寄せられた意見等は、本学の男女共同参画に関する貴重な基礎資料であり、その綿密な分析を通じて、本学における男女共同参画社会の形成に向けた有効な施策を策定し、これを実施に移して行くことを全学として宣言する時期にある。

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