8.育児環境の整備及び介護との両立支援について

平成14年4月より国家公務員の育児休業等に関する法律が一部改正され従来1年以内であった育児休業期間が3年以内となる。しかし、本学のよ うな高度専門職よりなる職場においては、その代替として専門職要員の補充は難しく、また当事者が長期間の休業による技能の陳腐化を重視すれ ば、両立して働くための環境改善の一層の努力が必要である。このため保育環境の整備及び介護との両立支援の重要性は軽減するものではない。

(1)本学関連の保育施設
本学敷地内には、社会福祉法人緑の丘福祉会が運営する名古屋市認可保育施設である「どんぐり保育園(東山地区)」と「ひまわり保育園(鶴舞地 区)」があり、両保育園は0歳から5歳まで各10名、合計60名の定員となっている。対象者は名古屋市民であり、本学関係者の児童数は、それぞれ1 9名と39名で、近年、本学関係者の児童数は減少してきている。
また、鶴舞地区には医学部及び附属病院関係者の産休明け児を対象とする「あすなろ保育所」が設置されている。

@保育のニーズ
両認可保育園への入所待機児はそれぞれ10数名存在し、どんぐり保育園では留学生からの児童保育の希望が圧倒的に多い。ひまわり保育園 には地域市民の入園希望とあすなろ保育所児の待機である。
年度途中の産休明け児に対しては、どんぐり保育園では、産休明け入所予約事業として年度内6名まで受け入れている。鶴舞地区ではあすなろ 保育所が受け入れ施設として存在している。

A保育時間
保育時間は7時30分から18〜19時20分に分布し、鶴舞地区では1歳〜学童については夜間保育も行っている。長時間保育の要求は22時頃ま での要求が散見される。

B病後児保育の要求
どんぐり保育園では、父母が拠出金を負担し、病後児保育の制度を運営し、看護婦も1名配置している。ひまわり保育園については今後の課題 である。

C保育の質
二つの認可保育園とも共同保育所から発展した経過により、父母と保育者との共同運営の形態は堅持され、保育内容の質的向上に努力してい る。しかし、あすなろ保育所については産休明け児が対象のため児童数が流動的であり(4月にはゼロに近い児童数が年度末にかけて増加する)保育者が定着しにくく、保育内容の蓄積が難しい。夜間保育についても保育者はアルバイトである。なお、現在のところ、保育の質 に関する外部評価は受けていない。

D父母の負担
両認可保育園とも保育の質的維持のため、父母がバザーなどの事業活動を行い収益を園の運営資金の一部としていることは、経済的・時間的な 父母の負担となっている。大学からは土地の無償貸与を受けているが、認可保育園であることから他の財政的援助は無い。
あすなろ保育所においては経済的問題は大きく、保育料の他に、入所金の負担があり、また卒後援助金、バザー等の収益を運営費にあててい る。なお、附属病院からは30時間パート2名分の人件費を得ている。

E留学生の児童の保育要求
留学生からの保育要求が多く(毎年10名程度)あり、また言語、習慣の違い等に対応するために学内に相談窓口を設置することを含めて、大学と してのサポート体制を設けることが必要である。

(2)保育園の現状の問題点
当初は共同保育所として設置し、その後、認可保育園に移行したことで、本学関係者の児童の割合が非常に少なくなってきている。共同保育所 の財政的負担と保育の質的向上のために認可保育園へ移行したものであるが、留学生の待機児が多く見られるごとく、認可保育園となったことで大 学内の保育のニーズには容易には答えられない現状が存在する。
大学によっては大学関係者のみを対象とした(共同保育所)保育園を維持しているが、産休明け児を対象としているあすなろ保育所にもみられる ように、父母の財政的及び時間的負担は多大なものがある。大学からの援助の増援を求めたい。

*あすなろ保育所の問題点については、父母の負担の軽減と保育の質の向上のための具体的方策が、医学部男女共同参画推進委員会で現在 検討されている。

更に、今後、本学が法人格を取得した場合に保育施設をどのように整備しておくか検討する必要がある。

(3)介護支援センター的組織の設置
介護支援センター的組織の設置がスムーズな介護のために必要である。職員厚生施設として、ケア・マネジャーの資格を持つ専門家が、教職員 及びその家族からの介護に伴う随時の相談に応ずることを提案する。

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