5.女性職員の昇進の拡大について(職員研修の充実及び意識啓発の推進等)

(1)政府が策定した男女共同参画基本計画においては、政策・方針決定過程への女性の参画の拡大が重要であるとし、女性国家公務員の採用・登用等の促進、積極的な改善措置(ポジティブ・アクション)など具体的措置の導入等を図ることとしている。また、高等教育機関における教育・研究活動においてはジェンダーに敏感な視点が組み込まれるよう努めるとともに、様々な分野への女性の参画の促進に努めるなど男女共同参画の推進を図ることとしている。

(2)本学の運営諮問会議からの答申においては、「名古屋大学の発展の基本的方向について」はその具体化に当たって考慮することとして「ユーザーの視点からの教育・研究の推進」を図ることが必要であり、教育・研究活動が国民、社会のニーズに適切に応えるものになっているかを、常に点検し、国民、社会の期待に応える責任があると提言されている。そのため、教育・研究活動を支援する大学職員にあっては、このユーザーの視点を常に念頭において大学の管理運営業務に従事する必要があるが、ユーザーの視点から職務を遂行するためには、男性職員の感性とともに女性職員の感性が必要不可欠である。このため、本学においては今後、男女共同参画の推進とともに管理運営にあたる責任のある枢要なポストへの女性の登用・昇進をより一層推進する必要がある。


(3)現在、本学においては、教育研究を直接担う教学面を担当する教員(定員約1,900人)と、教育・研究を支援する管理運営面を担う職員(定員約1,600人)が在職している。また、この外に近年の定員削減の実施等に伴い、教育・研究を支援するための方策としていわゆるパート職員や日々雇用職員などの非常勤職員等が多数在職している状況にある。これらの教育・研究を支援する職員には女性職員が多数在職しているが、現状においては、女性職員の資質・能力を十分に活用しているとは言い難い面がある。特に事務系職員にあっては課長補佐・専門員以上のポストに女性職員の登用がほとんどみられない状況にあり、また、掛長・専門職員ポストの女性在職率(12.4%)は主任の女性在職率(64.8%)、事務系職員全体の女性在職率(33.3%)に比べ著しく低い割合となっている状況は、早急に改善する必要がある。

(4)このため、今後、役職ポストへの女性の昇進の拡大を積極的・計画的に図ることとし、あわせて女性登用について職員研修などの機会をとらえて周知を図ることにより全学構成員の意識啓発を図る必要がある。また、女性職員の資質・能力の向上を図るため、職員研修に積極的に参加させること、学内外における人事交流を積極的に進めること、庶務・会計・教務など幅広く各分野の仕事の経験を踏ませることなどにより、意欲と能力のある女性職員の積極的な登用・昇進に努める必要がある。

(5)職員研修においては、本学では現在、幹部職員研修、新採用職員研修、新任掛長研修、技術職員研修など各層、各分野を対象とした研修において、全国の国立大学に先がけて男女共同参画及びジェンダーに敏感な視点に関する講義を取り入れているが、今後は研修内容に演習などを取り入れるなどその充実を図るとともに、現行の職員研修の他に事務系職員の資質・能力の向上を図るため、中堅職員、非常勤職員等を対象とした研修を新たに設けるなど研修の範囲の拡大に努め、男女共同参画及びジェンダーに敏感な視点を取り入れることとするなど意識啓発により一層努める必要がある。

(6)また、本学においては教育改革、法人格の取得、大学改革の推進及び男女共同参画の推進などの重要な課題に適切に対応するため、必要な専門的知識、広範な行政的視野並び社会的識見を身に付けさせ、専門職業人としての資質の向上を図ることを目的として、名古屋大学職員高度専門研修を平成13年度に創設し、本学大学院教育発達科学研究科博士課程(前期課程)高度専門職業人養成コース(社会人特別選抜)に入学し、2年間研究に従事させることとした。この研修を希望する者については選考の上、推薦し大学院入試に合格した後2年間勤務時間外に研究に従事することになるが、職員研修として位置付けていることから2年次の授業料を大学が負担することとし、また、研修期間中の勤務についての配慮を行うこととしている。今後、男女を問わず事務系職員が積極的にこの研修に参加することが大いに期待されているが、これらの各種研修の実施により有為な人材の育成に努める必要がある。

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