6.女性研究者及び非常勤講師の処遇及び研究環境の改善について

(1)非常勤講師に女性が占める割合は非常に高く、しかも年々増加する傾向にある。女性の視点が重要な研究分野においては、女性教員の少なさを非常勤講師によって補おうとしている部局もある。女性教員数の急激な増加が困難な現状においては、女性非常勤講師を積極的に採用することは、女性研究者の育成にもつながると考えられる。

(2)しかしながら、女性非常勤講師のかなりの部分が本務を持たない者であることを考えると、女性が非常勤講師にとどまっている現状もうかがえる。今後は、本務を持たない非常勤講師を研究者として育成し、その研究を援助するとともに、数年にわたって非常勤講師として勤務し、事実上常勤化してる場合、専任の教員として採用するよう配慮する必要がある。

(3)そのためには、非常勤講師も公募制によってひろく募り、その選考に当たっては学位の有無や教育歴などを含め、真に実力ある人を積極的に採用する必要がある。

(4)時間・期間を限定した非常勤的な勤務形態によって、女性研究者の能力の発揮、自己研修の場の提供などを考えている部局もあった。女性教員に対する研究費の特別枠、あるいは特別の配分額を検討している部局もいくつかあった。女性研究者の場合は出産や育児及び介護などのため研究専念時間に制約を受けやすい点に配慮し、研究活動に支障をきたさないよう期間を限定した研究費優先配分などの工夫を部局ごとに検討していく必要がある。また、本務を持たない非常勤講師についても、一定の研究費を措置するなどの配慮も必要である。

(5)常勤、非常勤を問わず、女性研究者の研究環境の改善は不可欠であるが、環境設備面における不備が、いくつかの部局において指摘されている。例えば、トイレ、更衣室、非常勤講師控え室設置など設備面の充実、セクシュアル・ハラスメント、アカデミック・ハラスメントの監視といった研究環境の充実の必要性である。また多くの部局がそろって指摘したのは、教員の妊娠・出産に伴う環境整備である。「保育所、育児休暇の社会基盤の整備」、「教員の産前産後の特別休暇及び育児休業中における代替要員の確保」、「出産・育児等に合わせた柔軟な配慮」、等が指摘されている。また、「女性が気兼ねなく休業を申し出ることができることと、その際に『母性健康管理指導事項連絡カード』の書類を整えておく」など、積極的に母性保護を行っている部局も見られた。産休・育児休業等に関する配慮・措置が非常勤講師に対しても必要であるのはいうまでもない。

(6)男女共同参画社会の実現に当たっては、男女が共に社会参加と家庭生活を両立させることが重要であり、そのためには、例えば、会議が勤務時間内に行われるように配慮することも必要であろう。また、女性の意見が会議等の場で反映されることも重要・必要ではあるが、女性教員数が圧倒的に少ない現状にあっては、学内の各種委員会委員としての役割が女性教員に過度の負担とならないように配慮する必要がある。

 

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