取組紹介工学系女性研究者を育成し、
新たなイノベーション創出へ

 次代を担う女性研究者の育成は、大学の重要なミッションです。様々な施策により女性研究者の割合は増加傾向にあるものの、工学系分野では極めて低いのが現状です。こうした課題を改善するために、名古屋大学では「ダイバーシティ研究環境実現イニシアティブ(特性対応型)の採択を受け、様々な取り組みをスタートさせました。中でもワークライフバランスに配慮した研究環境の改善や女性研究者の裾野拡大は重要な取り組みのひとつです。

出典:名古屋大学プロフィール2018~2023(各年度5月1日現在)

研究効率向上等の取り組み

デジタル研究環境整備プロジェクト

 工学系の研究テーマは実験研究が主体であることが多く、育児や出産等のライフイベントの発生に伴い研究の推進が困難になる場合があります。工学系女性研究者からは、「自宅にいながら研究を続けたい」「共同研究者とワークシェアしたい」「もっと研究を効率化したい」という声が聞かれます。デジタルトランスフォーメーション (DX) は、このようなニーズを解決しうる重要なテクノロジーです。
 本プロジェクトでは、工学系女性研究者がデジタル技術にアクセスしやすい環境を整備するとともに、電子実験ノートの普及活動や開発、データサイエンスとの連携による研究効率の向上などに取り組みます。このようなデジタル研究環境整備は、将来的に性別を問わず有用となると考えられ、全ての研究者の働き方の改革につながります。

シェア秘書システム

 もうひとつの特色ある取り組みは、シェア秘書システムです。シェア秘書は工学研究科女性教員のワークライフバランスを管理するアドミニストレーターとなり、業務支援・ネットワーキング支援・働き方モニタリングにより問題点を洗い出し、その改善につなげます。

研究力の向上等のための取り組み

名古屋大学大学院工学研究科博士後期課程女性フェローシップ制度

 博士後期課程の女子学生が安心して学修に励めるよう経済的に支援するとともに、ロールモデルとなる女性教員との交流の機会を設けます。

工学系女性進学推進セミナー

 女子学生の博士後期課程進学を応援するために、学内外の女性学部学生、および女子中高生を対象とした進学推進セミナーを実施します。

工学系女性コミュニティ

 男性が多数を占める工学研究科において、女性教員および女性院生同士が専攻を超えて交流できる機会は多くありません。工学部建物内に、女性が気軽に集えるリフレッシュスペースを設け、工学系女性研究者が研究やキャリア形成、ワークライフバランス等について、情報交換できる場として活用します。