II.受講者確定受講者名簿に記載の学生数は39名であった。全員2年生で、男子31名、女子8名であった。学部別の内訳は、文学部2名、教育学部1名、法学部2名、経済学部3名、情報文化学部5名、理学部3名、医学部1名、工学部22名であった。 III.授業内容一昨年度の学生アンケートの結果を鑑み、昨年度に続き、今年度も4名の教員が各3回ずつ授業を担当するという形式にした。初講はイントロダクションとして、シラバス記載事項の確認や授業の趣旨説明をしたり、学生にこの授業を選択した理由や「ジェンダー」に対するイメージ等を尋ねた。2〜13講は、各担当者が、テキスト(松本伊瑳子/金井篤子編『ジェンダーを科学する』ナカニシヤ出版、2004年)に沿って授業を行った。なお、何回かの授業では終了前に、出欠確認を兼ねて、質問・感想票の提出を求めた。14講では、学生を数名のグループに分け、半期の授業を通じての感想、ジェンダーに対する意見等についての議論を試みた。その後、各グループの代表者に議論内容を報告してもらい、それを受けて学生が意見を述べたり、新井がコメントした。 IV.評価シラバスの記載どおり、授業への出席ならびにディスカッションへの参加度30%、定期試験70%で評価した。定期試験は、最近の2年間と同様、授業内容全体について真摯に学んでもらうために選択問題を廃止し、全4名の教員が各1問ずつ出題する計4問の論述問題とした。評価の内訳は、優10名、良13名、可5名、不可0名である。 V.学生からの評価上記した、授業終了時提出の質問・感想票には、授業内容等に対しての改善要望はほとんどなかった。また、14講で実施した授業評価アンケートでも、全項目について平均を上回る評価であった。 具体的には、授業で提示された統計データやビデオなどに驚き、問題を強く認識できた、ディスカッションを通じて、他の人の意見を聞くことができよかった、といった感想が多く見られた。なお、質問・感想票には、(学生の)個人的な経験、意見を踏まえた関連質問や感想も寄せられ、興味深く読むことがしばしばあった。また、ディスカッション時の学生の発言内容にも、傾聴に値する点がいくつかあった。 VI.総括ジェンダーについて学ぶのは初めてという学生が大半であり、そうした初学者に諸学問領域においてジェンダーがどのように扱われているかを示し、考察する機会を提供できたように思う。 ただ、実際に職場や家庭で生じているジェンダー問題については、未だ当事者として経験したことのない学生が多く、彼らにとっては、ジェンダーはまだ身近な問題ではないように感じられることもあった。また、残念だった点として、受講者が徐々に減り、定期試験の欠席者が11名(登録受講者数39名)を数えたこと、あるいは定期試験で、時間不足からか、記入量の少ない答案が散見されたことなどが挙げられる。しかしながら、既述の諸点に加え、試験の採点を通じてもジェンダーに対する理解の深まりや関心の増大が伝わってきた。 本授業は、その開講目的―男女共同参画に寄与する教育―をほぼ達成できたと総括できる。
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