1. 第1節 2010 年度男女共同参画推進重点項目および活動報告
  2. 第2節 ワーキンググループの活動
    1. 1.育児支援策検討ワーキンググループ
      1. こすもす保育園運営協議会報告
      2. あすなろ保育園運営協議会およびあすなろ保育園運営協議会実務検討委員会報告
      3. 学童保育所(ポピンズアフタースクール)検討委員会報告
    2. 2.女子学生支援策検討ワーキンググループ
    3. 3.学部学生向けジェンダー関連授業検討ワーキンググループ
    4. 4.女性研究者増員策検討ワーキンググループ
    5. 5.病児保育検討ワーキンググループ
    6. 6.メンター検討ワーキンググループ
  3. 第3節 理系女子育成・支援に関する取組
  4. 第4節 学内外における男女共同参画ネットワークの構築
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第2章
2010年度男女共同参画推進重点項目および活動報告

第2節 ワーキンググループの活動

3.学部学生向けジェンダー関連授業検討ワーキンググループ

新井美佐子(主査)、金井篤子


今年度も、全学教養科目として「女と男を科学する」を開講した。コーディネーターは新井美佐子(国際言語文化研究科)が担当した。



I.授業日程

前期火曜2限に開講した。詳細は以下の通りである。



1. 4月13日 イントロダクション(新井美佐子)
2. 4月20日 生物学とジェンダー(生命農学研究科・男女共同参画室 束村博子)
3. 4月27日       〃
4. 5月11日       〃
5. 5月18日 教育学とジェンダー(教育発達科学研究科 大谷尚)
6. 5月25日       〃
7. 6月1日       〃
8. 6月8日 経済学とジェンダー(新井美佐子)
9. 6月15日       〃
10. 6月22日       〃
11. 6月29日 芸術とジェンダー(国際言語文化研究科 越智和弘)
12. 7月6日       〃
13. 7月13日       〃
14. 7月20日 ディスカッション、まとめ(新井美佐子)
15. 7月27日 定期試験


II.受講者

確定受講者名簿に記載の学生数は39名であった。全員2年生で、男子31名、女子8名であった。学部別の内訳は、文学部2名、教育学部1名、法学部2名、経済学部3名、情報文化学部5名、理学部3名、医学部1名、工学部22名であった。



III.授業内容

一昨年度の学生アンケートの結果を鑑み、昨年度に続き、今年度も4名の教員が各3回ずつ授業を担当するという形式にした。初講はイントロダクションとして、シラバス記載事項の確認や授業の趣旨説明をしたり、学生にこの授業を選択した理由や「ジェンダー」に対するイメージ等を尋ねた。2〜13講は、各担当者が、テキスト(松本伊瑳子/金井篤子編『ジェンダーを科学する』ナカニシヤ出版、2004年)に沿って授業を行った。なお、何回かの授業では終了前に、出欠確認を兼ねて、質問・感想票の提出を求めた。14講では、学生を数名のグループに分け、半期の授業を通じての感想、ジェンダーに対する意見等についての議論を試みた。その後、各グループの代表者に議論内容を報告してもらい、それを受けて学生が意見を述べたり、新井がコメントした。



IV.評価

シラバスの記載どおり、授業への出席ならびにディスカッションへの参加度30%、定期試験70%で評価した。定期試験は、最近の2年間と同様、授業内容全体について真摯に学んでもらうために選択問題を廃止し、全4名の教員が各1問ずつ出題する計4問の論述問題とした。評価の内訳は、優10名、良13名、可5名、不可0名である。



V.学生からの評価

上記した、授業終了時提出の質問・感想票には、授業内容等に対しての改善要望はほとんどなかった。また、14講で実施した授業評価アンケートでも、全項目について平均を上回る評価であった。

具体的には、授業で提示された統計データやビデオなどに驚き、問題を強く認識できた、ディスカッションを通じて、他の人の意見を聞くことができよかった、といった感想が多く見られた。なお、質問・感想票には、(学生の)個人的な経験、意見を踏まえた関連質問や感想も寄せられ、興味深く読むことがしばしばあった。また、ディスカッション時の学生の発言内容にも、傾聴に値する点がいくつかあった。



VI.総括

ジェンダーについて学ぶのは初めてという学生が大半であり、そうした初学者に諸学問領域においてジェンダーがどのように扱われているかを示し、考察する機会を提供できたように思う。

ただ、実際に職場や家庭で生じているジェンダー問題については、未だ当事者として経験したことのない学生が多く、彼らにとっては、ジェンダーはまだ身近な問題ではないように感じられることもあった。また、残念だった点として、受講者が徐々に減り、定期試験の欠席者が11名(登録受講者数39名)を数えたこと、あるいは定期試験で、時間不足からか、記入量の少ない答案が散見されたことなどが挙げられる。しかしながら、既述の諸点に加え、試験の採点を通じてもジェンダーに対する理解の深まりや関心の増大が伝わってきた。

本授業は、その開講目的―男女共同参画に寄与する教育―をほぼ達成できたと総括できる。



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