1. 第1節 2010 年度男女共同参画推進重点項目および活動報告
  2. 第2節 ワーキンググループの活動
    1. 1.育児支援策検討ワーキンググループ
      1. こすもす保育園運営協議会報告
      2. あすなろ保育園運営協議会およびあすなろ保育園運営協議会実務検討委員会報告
      3. 学童保育所(ポピンズアフタースクール)検討委員会報告
    2. 2.女子学生支援策検討ワーキンググループ
    3. 3.学部学生向けジェンダー関連授業検討ワーキンググループ
    4. 4.女性研究者増員策検討ワーキンググループ
    5. 5.病児保育検討ワーキンググループ
    6. 6.メンター検討ワーキンググループ
  3. 第3節 理系女子育成・支援に関する取組
  4. 第4節 学内外における男女共同参画ネットワークの構築
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第2章
2010年度男女共同参画推進重点項目および活動報告

第2節 ワーキンググループの活動

1.育児支援策検討ワーキンググループ

育児支援策検討ワーキンググループ:永田雅子(主査)、那須民江、束村博子
佐々木成江、大河内美奈、加藤ジェーン、榊原千鶴



こすもす保育園運営協議会報告

こすもす保育園運営協議会:永田雅子(議長)、束村博子、大河内美奈、加藤ジェーン
田中京子、太幡英亮、伊藤嘉規、森田洋子、園田正、林誠司、上田(石原)奈津実



1.名古屋大学こすもす保育園の経過

名古屋大学こすもす保育園は開園5年目を迎え、増床後の定員60名に近い子どもたちが在籍し、賑やかな声が響き渡るようになってきた。開所当時から入所してきた子どもたちも、年中・年長となり、0歳〜年長までほぼ均等な人数が在籍し、異年齢同士の交流も活発に行われるようになってきている。人数が多くなったことで、子どもたちにとっては集団での体験が広がり、よりよい保育の提供が可能になってきたところもあるのではないかと感じている。

その一方、定員を倍増したのにもかかわらず、保育希望者の数は年々増加してきており、特に、0歳児、1歳児の枠は、希望者全員を受け入れることができない状態となっている。今年度も、期間限定枠として、できるだけ多くの子どもたちをお預かりできるように対応を検討したが、十分に応えきれていないのが現状である。研究と育児の両立が不安なくできるような支援の在り方を模索していきたいと考えている。

今年度の名古屋大学こすもす保育園運営協議会はこれまで同様オブザーバーとしてこすもす保育園主任保育士に毎回参加していただき、保育園利用及び運営にかかわる多様な事項が検討された。入園の選定方法や選定基準の明確化、病後児保育の体制の検討、両立支援コミュニケーションシステムの整備などの課題について検討しつつ、春と秋に入園の募集を行い、入園者の選定も行った。また昨年度から議題にあがっていた嘱託医を、23年度から近医のワイワイ子どもクリニックに正式に委託できることが決まり、また個別な配慮が必要な子どもたちの保育の支援のために嘱託の臨床心理士の巡回指導を年に2回実施する体制を整えるなど、保育の質をよりよいものとするための基盤づくりを進めていった。



名古屋大学こすもす保育園2010年度 活動報告

主任保育士 伊藤友香

<主な年間行事>

2月 節分・生活発表会・定期健康診断
3月 クラス懇談会・ぬいぐるみ病院来園・おはなしの会来園・親子遠足・お別れ遠足・保育交流(学童)・卒園式・修了式
4月 進級を祝う会
5月 手洗い指導・クラス懇談会・野菜の苗うえ・附属高校保育体験受け入れ
6月 ブラッシング指導・おもしろ科学実験・プラネタリウム見学・留学生交流
7月 プール開き・七夕・附属高校保育体験受け入れ・プール開き・個人懇談会
8月 個人懇談会・水中運動会・夏の大掃除・すいかわり・打ち水大作戦・留学生交流・保育交流(学童)・ぬいぐるみ病院来園
9月 ブラッシング指導・お月見会・ギター・マンドリンコンサート
10月 ブラッシング指導・大学一斉避難訓練・SPORTS DAY・ハロウィーン
11月 東山動物園徒歩遠足・手洗い・うがい指導・芋掘り・焼き芋・おはなしの会来園・勤労感謝の日を知る活動
12月 年末の会(生活発表会)・手洗い指導・クリスマス会・冬の大掃除
1月 七草
   
毎月 避難訓練・身体測定・誕生日会・食育


<日々の保育の特徴や工夫について>

定員を60名に増員してから初めての年度となりました。おかげさまで保育利用希望者も多く、すべての方の受け入れをすることができずお断りする方もあり、学内における保育ニーズの高さを再認識した年度となりました。このような状況から今年度は年度途中からの入園者の枠や、他学年の空き定員を考慮し、期間を限定し入園いただく「期間限定入園者」の枠を設け、定員いっぱいまで最大限お子様をお預かりできるよう柔軟に対応を検討いたしました。

今年度は学内保育所として新しい保育の取り組みに挑戦し、附属高校家庭科の授業の一環として、保育園内で高校生が幼い子ども達と過ごす時間を持ちました。昼食を共にしながら会話を繰り広げたり、簡単な遊びやふれあいを通して異年齢間の価値観やイメージを新しく構築することができました。また学内の皆様にご協力いただき、理系女子学生「あかりんご隊」による出張科学実験、学内博物館での「恐竜展」鑑賞等において、身近に本物を見たり触れたりする経験をした他、名大祭においては昨年に引き続き学祭実行委員の皆様と「ペットボトルキャップ回収」を通して、世界の子ども達へワクチンを送る運動にキャップの回収ボックス製作の協力を行いました。終了後も子ども達からペットボトルキャップの回収を継続し、自分達の力でワクチンを送る活動を続けたいとご家庭や研究室の皆様にご協力いただき活動を継続しております。

最年長児は市内の多くの幼稚園・保育園で年長児がプラネタリウム見学することを知り、就学してからも同体験を共有することができればと名古屋市立科学館へ出かけ、プラネタリウムや科学館を訪問し体験も致しました。今後も事業所内保育所ではありますが、地域における他の保育機関において行われている体験も必要なところはとりいれてまいりたいと思います。

保育園全体としては5年が経過し、0歳児〜未就学児まで各学年一定数のお子様が安定して在籍するようになり、保育内容についても6年間の成長の見通しと目標をより明確にしながら保育を深め展開することがより重要になってまいりました。就学をひとつの通過目標として、豊かな経験のもと「人としての土台」を積み上げていきたいと思います。

大所帯にはなりましたが、ご利用者の入園時期や傾向、仕事環境等も踏まえ配慮しつつもご家庭と共にお子様の「今」を見つめ、必要な力を育めるよう保育についてはきめ細やかにお子様や保護者の気持ちにより添い、「第二の自宅」となれる安心・信頼の保育園となり、心豊かな人格形成をめざしていけるよう来年度も成長し続ける保育園運営を目指してまいります。



2.委託業者の決定

名古屋大学内学内保育所であるこすもす保育園は、保育士の派遣業務を民間企業に委託している。開設当初の委託契約期間5年が経過し、改めて提案評価方式による名古屋大学内保育所運営委託業務の選定を行った。2つの業者から応募があり、厳正な審査の結果、現委託業者である潟|ピンズコーポレーションに継続して委託することとなった。



3.今後の課題

設立後、増築を経てさらなる充実の過程にある大学(事業所)内保育を安定的に運営管理していくこと、さらに、すでに在籍している児童に対してより質の高い保育を提供していくために、大学全体の理解を得ながら環境整備に努めていかなければならないと感じている。

具体的に取り組むべきこととして、運営費の安定した確保がある。これまで、保育料収入と大学からの補助金、21世紀職業財団からの助成金をあわせて保育委託をおこなってきたが、行事費・教材費などは十分な予算の裏付けがないこともあり、日々の保育の中で工夫しながら取り組んでいただいているのが現状である。安定的な運営費確保やその管理の方法について今後、検討していくことが大きな課題となっている。

また、学内の保育所には看護師が常駐し、病後児保育を実施しているが、十分なスペースのある隔離室や別の出入り口が確保されているわけではなく、専門スタッフの配置の面など子どもたちの病後のケアが行えるような環境整備はまだ不十分である。子どもが病気になったときに、保護者が柔軟に対応できるような職場環境を整備していく必要性があるとともに、保護者と子どもたちが安心して利用できるような病後児保育の体制の構築が望まれる。

保育者利用希望者の増加に対応して、昨年度、増築が実現し、より多くの子どもたちが入園できるようになってきた。一方、こすもす保育園がより広く認知され、また下の子の誕生など兄弟の入園も増えてきていることもあり、結果的に、希望者を全員受け入れることができない状態が継続している。とくに0歳児、1歳児は希望が多く、受け入れ先が決定するまで保護者の不安は大きい。また今後、大学の国際化戦略の中で、外国人研究者や留学生の増加が見込まれる。異国の地で学業や研究をおこなうことになる外国人研究者や留学生を支えるために、学内の保育所として、どう支援していくことができるのかも検討していかなければならない課題だろう。

様々な課題をかかえている学内保育所ではあるが、日々の保育の中で子どもたちは着実に学び成長していっている。組織の中でさまざまな制限はあるものの、大学という場であるからこそ、子どもたちがより健やかに育っていける場として機能していけるよう、関係者の理解のもと、それぞれが当事者として保育園の運営にあたっていくことが大切だと考えている。



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