<日々の保育の特徴や工夫について>定員を60名に増員してから初めての年度となりました。おかげさまで保育利用希望者も多く、すべての方の受け入れをすることができずお断りする方もあり、学内における保育ニーズの高さを再認識した年度となりました。このような状況から今年度は年度途中からの入園者の枠や、他学年の空き定員を考慮し、期間を限定し入園いただく「期間限定入園者」の枠を設け、定員いっぱいまで最大限お子様をお預かりできるよう柔軟に対応を検討いたしました。 今年度は学内保育所として新しい保育の取り組みに挑戦し、附属高校家庭科の授業の一環として、保育園内で高校生が幼い子ども達と過ごす時間を持ちました。昼食を共にしながら会話を繰り広げたり、簡単な遊びやふれあいを通して異年齢間の価値観やイメージを新しく構築することができました。また学内の皆様にご協力いただき、理系女子学生「あかりんご隊」による出張科学実験、学内博物館での「恐竜展」鑑賞等において、身近に本物を見たり触れたりする経験をした他、名大祭においては昨年に引き続き学祭実行委員の皆様と「ペットボトルキャップ回収」を通して、世界の子ども達へワクチンを送る運動にキャップの回収ボックス製作の協力を行いました。終了後も子ども達からペットボトルキャップの回収を継続し、自分達の力でワクチンを送る活動を続けたいとご家庭や研究室の皆様にご協力いただき活動を継続しております。 最年長児は市内の多くの幼稚園・保育園で年長児がプラネタリウム見学することを知り、就学してからも同体験を共有することができればと名古屋市立科学館へ出かけ、プラネタリウムや科学館を訪問し体験も致しました。今後も事業所内保育所ではありますが、地域における他の保育機関において行われている体験も必要なところはとりいれてまいりたいと思います。 保育園全体としては5年が経過し、0歳児〜未就学児まで各学年一定数のお子様が安定して在籍するようになり、保育内容についても6年間の成長の見通しと目標をより明確にしながら保育を深め展開することがより重要になってまいりました。就学をひとつの通過目標として、豊かな経験のもと「人としての土台」を積み上げていきたいと思います。 大所帯にはなりましたが、ご利用者の入園時期や傾向、仕事環境等も踏まえ配慮しつつもご家庭と共にお子様の「今」を見つめ、必要な力を育めるよう保育についてはきめ細やかにお子様や保護者の気持ちにより添い、「第二の自宅」となれる安心・信頼の保育園となり、心豊かな人格形成をめざしていけるよう来年度も成長し続ける保育園運営を目指してまいります。 2.委託業者の決定名古屋大学内学内保育所であるこすもす保育園は、保育士の派遣業務を民間企業に委託している。開設当初の委託契約期間5年が経過し、改めて提案評価方式による名古屋大学内保育所運営委託業務の選定を行った。2つの業者から応募があり、厳正な審査の結果、現委託業者である潟|ピンズコーポレーションに継続して委託することとなった。 3.今後の課題設立後、増築を経てさらなる充実の過程にある大学(事業所)内保育を安定的に運営管理していくこと、さらに、すでに在籍している児童に対してより質の高い保育を提供していくために、大学全体の理解を得ながら環境整備に努めていかなければならないと感じている。 具体的に取り組むべきこととして、運営費の安定した確保がある。これまで、保育料収入と大学からの補助金、21世紀職業財団からの助成金をあわせて保育委託をおこなってきたが、行事費・教材費などは十分な予算の裏付けがないこともあり、日々の保育の中で工夫しながら取り組んでいただいているのが現状である。安定的な運営費確保やその管理の方法について今後、検討していくことが大きな課題となっている。 また、学内の保育所には看護師が常駐し、病後児保育を実施しているが、十分なスペースのある隔離室や別の出入り口が確保されているわけではなく、専門スタッフの配置の面など子どもたちの病後のケアが行えるような環境整備はまだ不十分である。子どもが病気になったときに、保護者が柔軟に対応できるような職場環境を整備していく必要性があるとともに、保護者と子どもたちが安心して利用できるような病後児保育の体制の構築が望まれる。 保育者利用希望者の増加に対応して、昨年度、増築が実現し、より多くの子どもたちが入園できるようになってきた。一方、こすもす保育園がより広く認知され、また下の子の誕生など兄弟の入園も増えてきていることもあり、結果的に、希望者を全員受け入れることができない状態が継続している。とくに0歳児、1歳児は希望が多く、受け入れ先が決定するまで保護者の不安は大きい。また今後、大学の国際化戦略の中で、外国人研究者や留学生の増加が見込まれる。異国の地で学業や研究をおこなうことになる外国人研究者や留学生を支えるために、学内の保育所として、どう支援していくことができるのかも検討していかなければならない課題だろう。 様々な課題をかかえている学内保育所ではあるが、日々の保育の中で子どもたちは着実に学び成長していっている。組織の中でさまざまな制限はあるものの、大学という場であるからこそ、子どもたちがより健やかに育っていける場として機能していけるよう、関係者の理解のもと、それぞれが当事者として保育園の運営にあたっていくことが大切だと考えている。
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